久しぶりに危ない目に遭いました。
数年前の職場の同僚だったおねえさんから、会って話が出来ないかとのお誘いが昨日、突然にありました。
そこで、昼から会ったのですが、行き先は教えてもらえず、自宅に車で迎えに行くからとのこと。
私は何故か、昨日、静岡県に旅行に行った際に泊まったホテルで配っていた、富士山麓のバナジウム水を彼女に渡さなければいけないと強く思い、それを真っ先に、車に乗るなり彼女に渡しました。
今考えると不思議です。
土産だというつもりだったのですが、当然他のものも候補に挙がる中で、何故か色々と言い訳をつけて、「最も相応しいのはバナジウム水だ」と心に強く思うもう一人の私がいたのです。
おねえさんは笑いながら断りましたが、私は強引に渡しました。
「富士山の水だ」と言って。
そうです、それは富士山から取ってきた(らしい)体にいい水なのです。
別に効果を盲信していたとかそういう訳ではありませんでしたが、何故かその時は強く押し付けていました。
しょうがなく受け取るおねえさん。
てっきり、隣の市辺りのカフェにでも入るのかと思いきや、栄えていない方面へ走っていく車。
あれ、どこへ行くんだろう。
知らないお店でもあるのかしら。
と、幾分不安になった頃、一つの建物の前で降ろされました。
そこは、某有名な(国内最有力の?)某宗教団体の集会所でした。
自分がそこの信者であることを打ち明け、私に「ここ知ってる?」と言うおねえさん。
知らないわけではありません。
私も身内に信者がいますので、良くも悪くもそこのことは大体知っておりました。
ただし、自分は母の代から信者ではありませんので、その建物には当然ながら入ったことはありませんが。
おねえさんが信者だったことと、久しぶりのお茶がこういうことだったことにはショックを受けましたが、私は不思議に平然としていました。
「勧誘されても私は入りませんよ。祖父が信者ですから半分信者みたいなもんですし」
そう言いつつさっさっとその中に入っていきました。
「入ったことあるの?」
と、不思議そうに訊くおねえさん。
ないです、と答えつつ、普通の人はどうするもんなんだろう?と考えていました。
中はひどく整然とした公民館のようなところで、その奥の椅子に腰かけ、プリンやクッキーをご馳走になりながら、世間話をしていました。
しかし、予想外の展開だったので、同居人に私はメールで現状を知らせたものの返事がない。
仕方なく、おねえさんが席を外した隙に同居人に電話しました。
おねえさんが戻ってしばらくするともう一人のご婦人も席に来ました。
お知り合いの方…のようでしたが、恐らく、団体内で少し目上の人でしょうね。
実は初めてではありませんでした。
非宗教系の団体のサークル部屋に連れて行かれた時も似たような展開になって……
そして最終的には入会したのでした。
(今もそちらのサークルや団体を正式に抜けられているかは分かりません。)
おねえさんとその婦人は世間話に混ぜつつ、その団体の説明や、どれだけ自助努力をしている人たちなのかを切々と説いていました。
よく分かっております、祖父も同じことをやっておりましたからね。
お蔭さまで長生きしています。
やっていないほうの祖父も無事に長生きしておりますが。
つまり寿命はそうしたことに左右されないということですね。
皮肉を混ぜつつ自分が努めて普通に話をしている内に、救いのナイト(笑)こと同居人がやって来ました。
そして、この人は体調が悪いので、と説明して、来た時以上にさっさと私を連れ帰って行きました。
危ないところだったね、と話している内に気付きました。
あのバナジウム水は神様の山から取ってきたお水です。
それを「神はいない(もしくは、別の人に言わせると仏より下)」と否定する人たちに押し付け渡してきたことになるのです。
お蔭で、相手の出したものを飲食しても悪びれずに済みました。
おねえさんは何度もバナジウム水を返そうとしましたが、私は頑なに固辞して(「家に帰ったらこれと同じのが沢山あって困るんだよ」などと冗談めかして)無理に置いてきたのです。
私はおねえさんの目的に全く気付いていませんでした。
だから決して対抗するつもりで持って行ったわけではないのです。
けれども、結果としてはそうなった。
不思議なことだと思いました。
そして、入信させられる前に私を連れ戻しに来てくれた同居人に感謝しました。
こんな出来事がありました。